君はどの大学を選ぶべきか[電子版]2026年度版

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「確率」は人類を変えたイノベーションです。過去の情報の意味を数の大小で表す「確率」という数学的な道具は、間違いなく私たちの生活を便利にしました。出かける前に天気予報を見ない人、受験前に模試を受けない人はいないでしょうし、過去のデータを参考にしないアスリートは少数派でしょう。ChatGPTも基本的には過去の膨大なデータを分析し、次に出てくるべき最も確からしい言葉を予測する仕組みから成り立っています。これらは全て確率という道具なしには成立しません。「確率」によって目の前にある現実から未来に役立つ情報が得られるようになり、私たちの生活は大きく変わったのです。また、私の専門である心理学にとっても確率や統計は歴史的に大きな役割を果たしました。現代心理学は19世紀の終わりに成立しましたが、同時期に発展した統計学の手法を取り入れ、データ分析に基づいた方法論を用いて大きく発展しました。現在でも「確率モデル」は心理学研究の重要なツールです。確率は心理学という学問分野自体にもイノベーションを起こしたのです。私の研究テーマは異文化間のコミュニケーションです。「文化」は特定の国や地域だけのものではなく、人が2人いればそこにその2人だけの文化が生まれることもあります。この文化というものはメガネと似ていて、人は異なる文化に属する相手と接する時も、自分の文化の価値観というメガネを通して評価してしまいがちです。それなのに、普段自分のメガネは見えないし、見ようともしません。レンズが汚れていないか疑うこともありません。文化が異なれば、同じものが全く違う見え方をしているかもしれないのに、自分の見方だけを基準に相手を評価し、相手の視点での見方ができないのです。イノベーションで大切なのは、必要に応じてメガネの度を確認し、時には相手のメガネを借りて新しい見方を可能にすることです。思い込みは新たな気づきや可能性を排除してしまいますが、メガネを変えると、今までとは異なる見方、考え方を得られるかもしれません。それまで知らなかった人やモノとの新たな出会いによってメガネを変え、そこから生まれるイノベーションが多々あるのです。確率×イノベーション文化という『メガネ』×イノベーション心理社会学科中村國則教授心理社会学科川村晶彦教授私の入学理由は、心理学が社会に与える影響や、心理学を用いた人事業務での実践例など、「政策・戦略・心理・社会」の4領域を多角的・横断的に学びたかったから。高校時代は情報工学分野への進学も考えていたため、データサイエンスと心理学を絡めて勉強できる環境も魅力的でした。実際、1年次からプログラミングなどを学ぶ「データサイエンス基礎」といった授業があるほか、統計の手法を駆使する専門科目もあり、データサイエンスの実用性を実感しています。3年次に楽しみにしているのは「組織心理学」の授業。インターンシップやゼミを通じて、企業における人の行動様式などを勉強したいです。東洋英和女学院高等部出身心理社会学科2年曽村知花さん私は心の状態が身体に影響を及ぼした実体験から、大学では心理学を学ぼうと考え、入学後は心理学の知見を応用したマーケティングにも興味が拡大。ターゲットや課題に関する解像度を高めるための調査手法や、解決策を導き出すための思考法などを学び、「第3回学長賞懸賞コンペティション2023」では、成城大学が進める生涯学習支援事業のPR内容を考えて最優秀賞を受賞しました。現在は“学外での挑戦フェーズ”と位置づけ、ベンチャー企業での長期インターンシップに参加してビジネス感覚を磨いています。第一志望ではありませんでしたが、与えられた環境で全力を尽くし、今では成城を選んで本当によかったと思っています。東京都立立川国際中等教育学校出身心理社会学科3年荒井光寛さん私は心理学や社会学への漠然とした興味と、マーケティングへの漠然とした“憧れ”から入学。自分を含めた日頃の意思決定プロセスを心理学の観点で学ぶ授業は、純粋に楽しいのひと言です。「褒めるという行為は、その時点で上下関係を形成する」といった考え方をはじめ、物事を俯瞰して言語化できる点に心理学の面白さを感じています。また、消費者心理を把握した上で効果的な販売促進策などを立案していくマーケティングのプロセスも非常に興味深く学んでいます。卒業後の目標は食品業界に進み、“イノベーション”に貢献すること。ゆくゆくは水産業をはじめとする地元・宮城県の産業にも貢献できればと思っています。宮城県立気仙沼高等学校出身心理社会学科3年吉田理紗さん


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