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現行の就活は3年生の3月から始まります。それまでに企業を訪問し仕事の内容の説明を受けたり、希望する企業の卒業生を訪れ話を聞いたりします(就活のスケジュールは今後変わる可能性があります)。社会には皆さんが知っているよりはるかに多くの企業があり、業績のいい企業もたくさんあります。大半の大学は、そうした情報を提供したり、公務員になりたい、教員になりたいなど、試験がある職種を目指す場合に、対策講座を開講したりしています。例えば、青山学院大は就活に力を入れている大学として知られています。その成果は就職率に出ます。青山学院大は首都圏の難関8私立大(青山学院、早稲田、慶應義塾、上智、中央、法政、明治、立教)の中で、11年から20年のうち、8年で実就職率(就職者数÷〈卒業者数-大学院進学者数〉×100で算出)がトップでした。大学のサポートがこういった就職率に反映されるのです。就職状況で人気学部も様変わり近年、好調な大学生の就職状況が続いていましたが、ここにきてブレーキがかかっています。21年春に卒業を予定している大学生の20年12月1日時点での就職内定率は昨年同時期より4.9ポイント減の82.2%でした。2010年から毎年上昇を続けてきましたが、19年に1.7ポイント減、20年はさらに減りました。20年についてはコロナ禍で経済・雇用状況が悪化しているのが一因と見られます。これを受け、受験生たちの志望校選びも変わってくると予想されます。大学通信では毎年、全国の2000進学校の進路指導教諭にアンケート調査を実施しています。昨年は925校から回答がありました。次のページの表6は、その中で「生徒に人気のある大学」について聞いた結果です。トップは「自分のしたい勉強ができる大学」で79.5%、次いで「社会的評価・イメージが良い大学」61.1%、「知名度が高い大学」56.6%、「家から通える大学」55.4%、「資格が取得できる大学」50.7%、「就職に有利な大学」49.8%の順でした。「就職に有利な大学」は不況期には1位を取るなどベスト3の常連でしたが、ここ数年は4位以下にとどまっています。その要因となっているのは、これまで続いてきた大学生の好調な就職状況ですが、コロナ禍の影響で就職状況が厳しくなると順位が下がる可能性があります。その他の項目では、国際系が躍進しています。「留学制度の充実・国際交流の活発な大学」は人気を維持、6年連続で10位以内に入っています。世の中のグローバル化の動きに、受ʼ21④▶文系学部の動向文系の志願者は、コロナ禍で就職状況の冷え込みが見込まれることから、人文科学、外国語、法などで減っています。法は不況になると公務員人気の高まりから人気になる系統ですが、21年入試ではそうなっていないようです。また、国内外の移動が制限されることにより、観光系は志願者減になると見られます。一方、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術を扱う芸術系が、リモートの隆盛により人気が高まっています。141