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「食」は生活に彩りと活力を与え、QOL(生活の質)を高めると同時に、個々が生きるために不可欠であり、人類全体の存亡に直結する領域です。その食に関わるイノベーションは多種多様。バイオテクノロジーを駆使した新たな食材の探求や、IT化・自動化などによる生産性向上、ビッグデータを活用したマーケティング手法の進化、さらには在庫管理手法の変革による食品ロスの軽減など、社会課題の解決につながるものもあります。半世紀前に危惧された食糧危機が少なくとも先進国で発生していないのは、こうしたイノベーションの恩恵が大きく、今後も世界の飢餓問題の解消が期待されるところです。私がもう一つ注目しているのは「映画×イノベーション」です。多額の製作費を要する映画業界では、サブスクリプション契約による資金をもとにしたNetflix社の映画づくりが大きく注目されています。また、数十年前に近未来を描いた映画に登場していた“空飛ぶ車”が、現代では実用化に近づいてきた例もあり、映画はイノベーションのアイデアの宝庫のように感じるのです。成城大学「クリエイティビティ」(Creativity、創造性)は、「新奇×有用なアイデアを具体化する力」と定義され、個人、集団、組織、社会など、様々なレベルに備わります。前例を覆すようなイノベーティブな挑戦には、前例に基づくルーチンや既存の考え方から逸脱することを伴うため、創造的な個人や集団はしばしば「変わり者」「やっかいもの」と拒否されてしまいます。効率と創造を両立するためには、「出る杭を守り、受け入れるマネジメント」、杭が出やすいように、同時に、出た杭が周囲を傷つけないように、創造的に活躍したい人と効率的に活躍したい人との間をつなぐマネジメントが重要です。個人的には、サッカーのイノベーションに関心があります。スポーツ科学の発展で選手の体力が飛躍的に上昇し、走行距離は何十%も向上しました。かつては、ファンタジスタと呼ばれる創造的な選手が好まれましたが、今は創造性よりも運動能力が重視されると言われます。この状況を打破する創造的な選手の登場が楽しみです。バリエーション×イノベーション千差万別の学生を十人十色の教員が成長させる食×イノベーションクリエイティビティ×イノベーション政策イノベーション学科後藤康雄教授社会イノベーション学部政策イノベーション学科心理社会学科政策イノベーション学科積田淳史准教授