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早稲田大学大学改革最前線早稲田大学は大隈重信によって1882(明治15)年に創設された東京専門学校を前身としています。これまで、“官学に対抗した自由主義精神に富む人材の育成”という創設の理想を現実のものとし、“私学の雄”としての道を着実に歩んできました。建学の理念として掲げた三大教旨「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」は、現代的に言いかえると、「自ら考え行動できる能力を養い、地球社会に貢献する人材を育成する」ということです。この教旨は脈々と受け継がれており、「在野精神」「進取の精神」という早稲田大学独特の校風を醸成しています。一方、目を世界に転じると、グローバル化の進展により、既存の知識や方法論だけでは解決を図ることの難しい地球規模の課題が出現しています。こうした時代に立ち向かうために田中愛治総長は「たくましい知性」と「しなやかな感性」を養うことを提唱しています。「たくましい知性」とは、答えのない問題に挑戦する知性のことです。事実やデータなどの根拠に基づいて自分なりの解決策を考え、周囲を説得して物事を進めていくには、たくましい知性を備えていることが武器になります。「しなやかな感性」とは、性別・国籍・言語・宗教・信条・価値観の異なる人に誠意を持って接し、理解できる感性のことです。多様な視点を持ち、柔軟な姿勢で向き合える感性は、グローバル社会で活躍するために必須のスキルです。「たくましい知性」と「しなやかな感性」を身につける教育を実践し、「世界に輝く早稲田」を目指して改革を進める早稲田大学では、研究・教育・貢献をグランドデザインの3本柱に掲げています。■研究の早稲田優秀な若手研究者を育成する環境の整備を掲げ、学生への体系的な教育の提供、大学院生に対する体系的な学術研究方法のトレーニングの実施、より質の高い研究の継続などによって、世界に羽ばたく人材に育てることを目指しています。2020年3月に「リサーチイノベーションセンター」を創設して世界最先端の産学連携研究や、ベンチャー企業などの新産業の創出に取り組むなど、その歩みは着実に進められています。一方、21年秋には「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」が開館予定で、世界中の「村上文学」「国際文学」「翻訳文学」の研究者が集う場となることが期待されています。■教育の早稲田社会に出ても必要とされるアカデミックツールを学世界に輝くWASEDAを目指す研究・教育・貢献大隈重信の理念と「たくましい知性」「しなやかな感性」「たくましい知性」と「しなやかな感性」で世界で輝くWASEDAへ