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https://www.univpress.co.jp/す。2次試験の受験者を募集人員の5倍などに制限している大学があり、共通テストの成績だけで門前払いにされてしまうことがあります。前述の通り、私立大は同じ大学、同じ学部でも複数回入試が行われており、何度受けてもかまいません。複数の合格校の中から、入学する大学・学部を決められます。私立大では近年、入試の多様化が進みました。受験生を多角的に評価しようという狙いで、数多くの方式が実施されるようになってきています。例えば「地方試験」を実施する大学が多くあります。これは大学所在地と異なる地方に試験場を設け、わざわざ大学まで受験に行かなくてもいいようにするものです。これ以外にも「試験日自由選択制」があります。これは例えば、3日間同じ学部で試験を実施し、他大学との併願のことを考え、都合のよい日に受験すればいいようにしたものです。どうしてもそこに入りたければ、3日間連続して受けていい大学もあります。合格発表は1回で、偏差値法を使って判定し、問題の難易で差がつかないように工夫されています。また、共通テストの成績だけで合否が決まる「共通テスト利用入試」や共通テストの成績と大学での試験の成績を合計して合否判定する「共通テスト併用方式」などもあります。近年増えているのが、「全学部統一日程試験」です。同志社大、立教大、明治大、法政大、青山学院大など多くの大学で実施されています。これまで学部ごとに行われていた入試を、1日で全学部(文系全学部のみなどの場合もある)が入試を実施するという方式のことです。今まで難関大では受験機会が少なかったのですが、これにより受験機会が増え、人気を集めています。また、英語の外部試験を利用した入試も増えています。15年に上智大2025入試TOPICS04文系学部の動向文系学部では経済・経営・商の人気が高まっています。背景にはコロナ禍が明けて企業活動が活発になり、就活での大学生の売り手市場が続いていることに加え、女子受験生が語学から社会科学などの実学に進学するようになっていることがあると見られます。社会科学系では、法や政治・政策の人気が続いています。国際関係の志願者についても、コロナ禍での人気低迷は底を打ち、志願者が増えています。134がTEAP(アカデミック英語能力判定試験)利用入試という英語の外部試験を利用した全学部型の入試を実施して志願者を増やすと、翌年以降、多くの大学が同様の入試を実施し、急速に広がっています。また、入試の多様化に加え、キャンパスの新設や移転なども積極的に行われています。東日本では、25年4月に、東京理科大の薬学部が千葉の野田キャンパスから東京の葛飾キャンパスに移転します。また27年4月には、桐生大が太田駅前に新キャンパスの開設を予定しています。西日本では、25年4月に龍谷大の社会学部が現行の3学科から1学科に再編されるとともに、滋賀の瀬田キャンパスから京都の深草キャンパスへ移転します。また、これまで文系の学部のみを有していた追手門学院大が25年4月、理工学部を新設するとともに、19年に新設した大阪総持寺キャンパスに多くの学部を集約してメインキャンパスとします。いずれも利便性の高いキャンパスに教育資源を集中させることで、学生の学びやすさや、学部間の連携の向上を図っています。このような学部・学科の移転、都心キャンパスの新設など、ダイナミックな大学改革は受験生の注目を集め、倍率アップの要因になりますので注意が必要です。学費が不安でも奨学金制度充実大学に合格したら、当然納めなければいけないのが学費です。入学金や授業料の額も大きく様変わりしています。表5の学費の表を見てください。私立大の社会科学系(法学や経済学などを学ぶ系統)の初年度納入金の平均額は約129万円で、理工系は約168万円。両系統ともに30年前との比較では3倍以上値上がりしています。国立大の学費の上昇幅は、私立大以上です。この30年で5.6倍(14万6000円→81万7800円)に跳ね上がっているのです。そうした中、初年度納付金が平均で約723万円かかる私立大医学部は、一般家庭には負担が大きい学費の値下げをする大学が相次いでいます。学費が値上がる一方で、大学の奨学金制度が充実してきています。卒業後に返還義務がある貸与