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哲学、倫理学、美学、宗教学などに細分化されます。哲学では、東洋・西洋の哲学を追究します。一方、倫理学はその哲学を現実社会に発展させ「いかに生きるべきか」を考える学問です。美学では、“美”そのものについての論理的研究のほか、芸術との関わりに触れる美学美術史の学科・専攻もあります。宗教学では世界の宗教や思想、宗教と人間との関わりなどを探究していきます。そして、「心理学」では、人間の心のメカニズムを科学的に解明します。目的や対象によって細かい分野に分かれており、知覚や記憶、思考など人間の基本的な認知機能を研究する「認知心理学」、脳と心の関係を研究する「神経・生理心理学」、人格の形成過程などを研究する「人格心理学」などがあります。応用分野はさらに幅広く、社会心理学や犯罪心理学など多岐にわたります。近年、学校や病院、一般企業など、さまざまな場でカウンセラーの需要が高まっています。実際にカウンセラーとして働くには、基本的に臨床心理士の資格が必要で、所定の大学院を修了する必要があります。日本初の臨床心理の国家資格として誕生した公認心理師は、心理的支援が必要な人に対し、心理状態を観察・分析し、相談に応じて助言、指導などを行う専門家です。心理学科などを擁する大学では国家資格取得に対応したカリキュラムを用意しています。受験資格を得るためには、大学かつ大学院で必要な科目を修了するか、大学で必要な科目を修了後、特定の施設で2年以上、心理職の業務に従事する必要があります。なお、文学部に近い学部として、人類の知的営為にせまる人文学部、教養学部などがあります。人文学部は文化学科、現代文化学科など「文化」に関連する分野を扱うケースも目立ちます。また、教養学部では多様化した専門分野を横断的に学びながら、互いの領域を学問的に関連づけていくことで、人間や文化の深層に迫っています。●副専攻制で国際性を養う外国語学部対象となる言語は、英米語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語のほか、近年の大学学部学科選び入門アジア圏への関心の高さから、中国語や韓国語も人気があります。これ以外にも、ポルトガル語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、アラビア語など、広範な言語を学べる大学もあります。どの言語を専攻していても、英語は必修です。外国語学部では、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を磨き、文法や語彙力、コミュニケーション能力を高めます。専攻語圏の歴史や文化、政治、国際関係など、異文化理解を深める多彩な科目があります。第二外国語として他言語の習得も可能です。また、TOEICR、TOEFLRなどの語学試験のサポートや多彩な留学制度を用意している大学も数多くあります。こうして培った言語能力と知識を生かして、卒業後は企業のほか、国際交流団体やNPOなど、国際社会における橋渡し役として活躍する人も少なくありません。●現実問題をあつかう人間科学系学部人文科学系統の中で、より実際的な研究を行うのが、人間科学部、人間環境学部、人間関係学部などの人間科学系の学部です。実社会の問題に触れ、社会、教育、情報、自然といった人間を取り巻くさまざまな環境と人間との関わりを多角的に考察していきます。大学によってカリキュラムは大きく異なります。例えば人間関係学科では、人間と人間を取り巻く家庭や地域、企業、社会など、さまざまな世界との関係性を追究しています。法学・政治学系統〜法学部など〜この系統は多くの法曹(弁護士・検察官・裁判官)や公務員を輩出する学部・学科として定評があります。学部で培ったリーガルマインド(法的な考え方)を一般企業で生かしたい人にもお勧めです。●法学と政治学を学ぶ法学部ここでは、法学部で学べる法学と政治学につい157