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キャンパスズームアップています。遠藤二人とも大事な要素を抽出して、本質を突いた話をしてくれました。イノベーションは、起点と終点だけを見て、今までのものを大きく変えた画期的な進歩だとする解釈と評価がされがちですが、そこに至るまでは前進と後退の繰り返しです。言い方を変えれば、どんなイノベーションも“漸進的”な変化が積み重なった結果として、大きく様変わりした成果がもたらされるということなのです。イノベーションは結果としては“派手”ですが、そこに到達するまでに地味な作業を地道にできるか否かが結果を左右します。それは、学生の学びにも同じことが言えます。例えば、3年次前期のゼミで毎週課しているレポート提出を見ても、手抜きをしようと思えばいくらでもできてしまうものですが、目の前のことに、地道に本気で取り組み続けた学生は、卒業までに大きく成長できます。もちろんコツコツ続けること自体に難しさもありますが、「もっとできるんじゃないか」と気づかせてくれたり、「もうちょっとやってみようかな」と気持ちを奮い立たせてくれる仲間の存在が刺激になりますし、そんな仲間が多いことも、この学部の魅力だと思います。―今後に向けた抱負を聞かせてください。岩崎私は商品開発を目標にしてきましたが、4年間で組織論や心理学なども学んだことで選択肢が広がりました。今は、大局的な視野で経営戦略を考え、商品開発のみならず組織全体にイノベーションを起こせる人材に成長したいと思っています。遠藤商品開発では、消費者にどのような豊かさを提供したいのかというビジョンがあるか否かで結果が大きく変わります。大切なのは、「消費者にとっていい文房具とは何か」をとことん考え抜くこと。そうやって新たなコンセプトを打ち出し、そのコンセプトに沿った商品を開発するという順序です。また、商品開発はチームで進めるもの。チーム内の相互作用によって、埋もれていた個人の才能が掘り起こされ、画期的なアイデアを生み出す原動力になる可能性もあります。そんな力を引き出すためのベースになるのが組織論です。岩崎さんには、将来的にリーダーとしてチームをけん引し、経営戦略を具現化するイノベーティブな商品開発を進めていってくれることを期待しています。―梅津さんには就職活動に向けた意気込みをお聞きします。梅津私は、やはりIT業界に興味があります。新商品やサービスが世に出る際には、インターネットが大きく関わるため、最新技術を活用しながら、生活をより便利に、より豊かにできるような職種に就きたいです。また、ゼミではチームで作りあげることにやりがいを感じましたので、社会人になってもチームワークで何かを成し遂げていく仕事がしたいですし、チーム内で信頼される人間でありたいですね。―最後に学部の展望と受験生へのメッセージをお願いします。遠藤学部が2025年に創設20周年を迎えるにあたり、現在、3つの軸でさまざまな計画を進めています。1つ目は、私たちなりに「社会イノベーション(学)」を定義した上で、「社会イノベーション宣言」として国内外に発信すること。産業界やスポーツ界、芸術界、NPOなど、多様な分野で活躍している方々をお招きして、「〇〇×イノベーション」をテーマにシンポジウムの開催を予定しています。2つ目は、カリキュラムのイノベーションです。卒業生同士が実社会で得た経験や知恵を共有し、現役の学生へ発信する授業等の新設も検討しています。3つ目は地域社会との連携・コラボレーションを活発化させること。次の20年に向けて、「プロジェクト研究」等学生の学びを基に、卒業生や地域社会の方々と“新結合”しながら、イノベーティブな課題解決策を考えていきたいと思います。イノベーションに正解はありませんが、受験生のみなさんには、この学部で豊富な知識と多角的な視野を獲得し、まずは“考える力”を高めてほしいと願っています。本文432・433ページもご参照ください成城大学入学センターTEL03-3482-9100〒157-8511東京都世田谷区成城6-1-20〈URL〉https://www.seijo.ac.jp/梅津花歩さん(KAHOUmetsu)政策イノベーション学科3年東京都立昭和高等学校出身創設20周年に向けて学部自体をイノベート