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学習院大学―お二人が教員を目指したきっかけから教えてください。笛木私は小学生のとき、消極的な性格で自分からはなかなか周囲とコミュニケーションが取れませんでした。そんな私に毎日笑顔で目を合わせ、「おはよう」と声をかけてくれる先生がいました。私は「自分のことを見てくれている」という安心感を覚え、楽しく笑顔で学校生活を送ることができました。そのことが今でも鮮明に思い出せるほどうれしかったからこそ、今度は私が教員となり、かつての自分と同じように子どもたちを笑顔にしたいと思っています。沼尾私は公務員の父のもと、幼い頃から地域住民のための仕事に興味を持つようになりました。その仕事のひとつとして教員を志望するようになったきっかけは、小中高で〝わかりやすくておもしろい〟授業をしてくれる先生方に出会えたことです。学校生活の中心は授業であって、質の高い授業をすることが子どもたちと信頼関係を築くために不可欠だと思うので、大学で「授業力」を磨くことを何よりの目標として設定しました。また、特に中学校と高校では歴史の授業が楽しくて好きだったため、中学校の社会科と高校の地理・歴史科の教職課程も履修しています。―入学後、学科の雰囲気はいかがでしたか。笛木小学校時代の先生が私のお手本であるのと同じように、学習院大学でも先生方が学生に接する姿を見て、理想とする教員像が鮮明になっていきました。例えば、私が所属しているゼミの栗原先生は、必ず目を見ながら私の話を聞いてくれて、絶妙なタイミングで相槌を打ちながら肯定的に受け止めてくれます。言葉がなくても先生のやさしさが伝わってきて、目を見ること自体が相手に思いを伝えるコミュニケーション手段のひとつになるのだと再認識できました。沼尾私が感じたのは、理論を学んで実践につなげるまでの学びのプロセスが明確だということです。教科別の基本的な教え方や留意すべきポイントを学んだ後、実際に指導案を作成したり、模擬授業で試したりするまで、少しずつでも着実にステップアップしていけ文学部教育学科学習院大学は2013年に文学部教育学科を開設。1学年の定員を50名とし、講義型科目は受講者数の上限を25名程度とする少人数体制のもと、毎年6割以上の学生が教員採用試験での合格を目指し、そのほとんどが卒業後すぐに教員としてのキャリアをスタートさせています。学生はいかなる教員像を思い描いて入学し、4年間で何を学び、何が身につくのか、来春に卒業を控える2名の4年生に話を聞きました。学生インタビュー笑顔で楽しくおもしろく授業づくりと人づくりに想いを込めて言葉に出さなくても伝えられることがある沼尾優稀さん山梨県私立駿台甲府高等学校出身