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4年制大学編入でステップアップというように、以前は、短大卒業後は就職するのが当たり前でしたが、4年制大学へ編入する道も選択できるようになりました。もともとは就職するつもりで短大に入った人でも、学ぶうちに、“もっと学問を掘り下げたい”という気持ちがわき、編入にチャレンジしています。このほか、“短大で取得した資格のさらに上級の資格を取りたい”さらなるスキルアップを目指して大学編入を選ぶ人も多いようです。文部科学省の調査によると、2020年3月の短大卒業生の大学等への進学率は9.2%で、前年よりも0.7ポイント上昇。就職に次ぐ進路として、定着しています。かつては、併設大学への編入が一般的なルートで、併設短大生にのみ与えられた特権でした。しかし現在では、大学で編入学定員を設けることが可能となり、すべての短大生に門戸が開かれています。私立大学では、ほとんどの大学で編入学試験を実施しています。ただし、学部・学科によっては実施していなかったり、年度によって募集しない学部・学科もあるので、よく確認しておくことが大切です。編入学試験は、国公立大学、私立大学ともに、主に9月から12月にかけて実施されます。2月または3月に試験を行うのは、明治大、立教大などです(2021年度参考)。試験科目は、主に専門科目と外国語。論文や面接、口頭試問などを課す大学もあります。試験の内容は専門的で、大学での学習に必要な深い専門性が問われます。一般入試よりも入試科目が少ない分、勉強の負担は軽いといえるかもしれません。ただし、編入学定員は少ないので、人気のある大学・学部の試験は、激戦となります。●協定校・指定校推薦が有利●編入の方法は、「自主応募」のほか、「併設大学への優先編入」「協定大学・指定校推薦」などの制度もあります。在籍する短大が大学から指定校依頼を受けていたり、協定・提携を結んでいれば、書類選考と面接・小論文などの選考だけで進学できます。●併設大学への内部進学●併設大学(系列大学等)への内部進学については、ほとんどの大学で優先編入枠を設けています。内部進学の場合、他短大出身者よりも有利に扱われるところもあります。なかには、選考方法の一部を免除したり、短大の学長の推薦があれば、書類選考のみで進学できる大学もあります。このほか、併設短大のメリットとしては、入学金の免除・減額や検定料の免除、他短大出身者よりも単位認定が有利、といったことが挙げられます。また、短大在学中に併設大学の授業を履修でき、編入後の単位に認定される大学もあり、編入を視野に入れた学びが可能です。●“学びたい”意欲をサポート●ほとんどの短大で、編入学希望者をバックアップする態勢を整えています。ガイダンスから始まり、募集大学の情報提供、パンフレットの発行、受験相談、編入合格者による体験報告会、試験対策講座(外国語・専門科目)、論文指導、面接指導など、多彩です。専門の部署や編入を目的としたコースを設置している短大もあります。さらに、編入対策の授業を単位認定の選択科目として組み込んでいるところもあります。大学に比べると短大は小規模なため、一人ひとりにきめ細かな指導をしてくれます。なかには、編入用の自習室を設けたり、マンツーマンで外国語や論文などを指導する短大もあります。このように、多くの短大では、学生のニーズにこたえ、親身になってサポートしてくれます。ただし、合格を手に入れられるのは、自分で努力した人だけ。ただ単に大学に行きたい、という漠然とした動機だけでは努力は続けられません。大学卒業後の就職や大学院進学まで視野に入れて大学を選び、編入学にチャレンジしましょう。次ページから、各短大の大学編入学実績を掲載153